
「この洋服、いつまで着れるんだろ?」、「この洋服は、今の季節に着てもいいのだろうか…?」
出掛ける前や、洋服を購入する際、こんな悩みがありませんか。
特に、季節の変わり目は洋服を選ぶ難易度が上がるため、多くの人が季節や気温に合う洋服選びに迷っています。
そんな悩みを解決してくれる方法は、季節に合った素材を選ぶということ。袖の長さや生地の厚さではなく、素材の種類で洋服を選ぶことがポイントです。
洋服の素材には野菜や果物と同じように、その季節ならではの“旬”が存在すします。夏にスイカを、秋にサンマを食べるように、その季節に合った素材を身につける。そうすることで、それぞれの季節に合わせた「季節調節」ができるのです。
この記事では、毎日の洋服選びに迷っている方に向けて、季節に合った旬の素材を紹介。さらに、素材で洋服を選ぶ際のポイントを詳しく解説していきます。
この記事を読めば、季節に合わせた素材がわかり、どんな季節でも自信を持って洋服を選べるようになるでしょう。

この記事を書いている僕は、アパレル業界に20年勤務。
洋服のことを学びながら、多くのお客様にファッション提案をしてきました。
「この服いつまで着れますか?」の答えは素材がもつ季節感にある

「この洋服、いつまで着れますか?」。この質問を言い換えると、「この洋服を着ていて暑く感じない(or寒く感じない)のは、いつまでですか?」ということではないでしょうか。
つまりこの質問では、体温調整をするための洋服の役割を聞いているということです。
しかし、暑い・寒いと感じる、体感の基準は人それぞれ。
例えば、同じ15℃という気温でも、毛布一枚で寝る人もいれば、毛布の上から羽毛布団を掛けて寝る人もいます。
つまり、体温調整にはすべての人に当てはまる共通の基準がないため、洋服が着れる時期を他人に聞いても、納得のいく答えを得られないということです。
一方で、素材には夏に向いている素材、冬に向いている素材と、明確な基準が存在します。
「この洋服いつまで着れますか?」
この質問の答えを導き出すポイントは、気温による温度調整ではなく、季節に合わせる季節調整にあるということです。
次のセクションで、季節調整について詳しく解説していきます。
季節の変わり目は「体温調整」ではなく「季節調整」を心がけよう

3〜4月や9〜10月など、季節の変わり目の着こなしに迷っている方は、「体温調整」を考えすぎている傾向にあります。
しかし、季節の変わり目は気温の変化が激しいもの。
例えば、同じ4月でも最高気温15℃前後の日もあれば、25℃に迫る日もある。朝の気温は10℃なのに日中は20℃を超える日もある。
そんな気温の変化に、その都度対応しようとしても、なかなか納得のいく着こなしができません。
そこで大切なのが「季節調整」です。
季節調整とは、季節感のある旬な素材を身につけ、それぞれの季節に合わせた着こなしをすることです。
例えば、6月の25℃を超える気温でも、長袖を着ていたい人は着ればいいのです。
ただし、冬素材の「ウールやアクリル」が混合されたアイテムではなく、春夏らしい「麻」を使用したアイテムを身につけてみてください。
季節感のある旬な素材のアイテムを選ぶだけで、「今、何を着たらいいのか分からない」という悩みは解決です。少なくとも、袖の長さや生地の厚さで着るものを選ぶことはなくなるでしょう。
次のセクションでは、季節感のある旬な素材にはどんなものがあるのかを紹介していきます。
季節感のある旬な素材を紹介

ここでは、それぞれの季節で選ぶべきオススメの旬な素材を紹介していきます。
ただ何となく自分の着たい洋服を着るのではなく、季節感のある素材を理解した洋服選びを心がけましょう。
【季節別オススメの素材】
- 春:綿(コットン)・レーヨン
- 夏:麻(リネン)・シアサッカー
- 秋:ウール・コーデュロイ・レザー
- 冬:ウール・アクリル・カシミヤ・ツイード
- オールシーズン:デニム・ポリエステル
洋服屋さんでお洋服を選ぶとき、お出掛けの際に洋服を選ぶとき、タグを見て素材を確認してみてください。
以下に、素材の特徴をまとめてみました。
【素材の特徴】
- 綿(コットン):春から夏にかけて最適。肌触りが柔らかく、汗の吸い取りがいい素材。
- ポリエステル:年間通して使用可能。軽量で丈夫。洗ってもすぐに乾いて、しわになりにくい素材。
- レーヨン:春から夏に最適。 発色が良く、柔らかく涼しい素材。
- リネン:夏に最適。涼しい素材で、シワがある風合いが特徴の素材。
- シアサッカー:夏に最適。薄手の織り模様が特徴で、通気性が非常に高い軽量の生地。
- コーデュロイ:秋から冬に最適。リブ状の模様が特徴で、柔らかくて暖かい素材。
- レザー:秋から冬に最適。丈夫でスタイリッシュな素材。
- アクリル:秋から冬に最適。ウールに似た風合いで、保温性がある素材。
- ウール:秋から冬にかけて最適。基本、ウール=羊毛。保温性が高く、寒い季節に適している素材。
- カシミヤ: 冬に最適。軽くて暖かく、高級感がある素材。
- デニム: 年間通して使用可能。丈夫なデニム生地でジーンズの素材として使用されるワークウェア。
オンラインで買い物をする際は、写真だけでは素材感が伝わらないことがあります。
商品販売ページには素材を表記した箇所がありますので、購入前に必ずチェックしましょう。
絶対にやってはいけない素材選び

素材選びで、絶対にやってはいけないのは、季節に合わない素材選びです。
なぜなら、多くの人は、他人が着ている洋服がオシャレかどうかの判断はつきませんが、季節から外れているかどうかは、一瞬で見分けがつくからです。
例えば、果物に季節の旬があるのと同じように、素材にも季節の旬があります。
季節に合わない素材を身につけるというのは、冬にスイカを見るくらい一瞬で違和感が生まれるということです。
【特に注意が必要な素材】
- リネン:春夏の素材
- シアサッカー:春夏の素材
- コーデュロイ:秋冬の素材
- スエード:秋冬の素材
- ベロア:秋冬の素材
- ウール(フォーマルスーツ除く):秋冬の素材
- ダウン:秋冬の素材
これらの素材は、春夏・秋冬を代表する素材です。
季節を代表する素材は、その季節限定の素材と考えたほうがいいでしょう。
肌寒いから、4月にダウンコートを着る。
暑いから、10月にリネン素材のシャツを着る。
このような素材の選び方は季節感がズレるため、オシャレをするという観点からいくと、絶対にNGな着方になります。洋服を選ぶ際は気をつけてみてください。
オールシーズン使える素材だけではオシャレは作れない

オールシーズン使えるアイテムのみでの着こなしは、シンプルな無味無臭のコーディネートになってしまいます。
「オールシーズン使えるものはありますか?」この質問も、洋服の販売をしているとよく聞かれる質問です。
もちろん、オールシーズン使えるアイテムはありますし、オールシーズン使えるアイテムを使うことが悪いわけではありません。
ただ、オシャレとは「まわりのみんなとは違う」ということです。
シンプルで無味無臭のオールシーズン使えるアイテムのみでのコーディネートは、他人と同じ風になってしまうため、結果、オシャレを遠ざけてしまいます。
素材選びの切り替えは、3月と9月を意識する

一年の中で特に素材選びに気をつける時期は、3月と9月です。
ファッション業界では、年間のシーズンを「春夏」と「秋冬」で区切ります。
そして、多くのブランドの春夏立ち上がり(春夏スタート)は2月。秋冬立ち上がり(秋冬スタート)は8月です。
2月と8月は、ファッション感度の高い人達が先物買いとして洋服を買う時期といわれ。そして、本格的に、春夏・秋冬のシーズンが始まるのは、およそ1カ月後の3月と9月になります。
また、気象庁の見解によると、季節の始まりは、春は3月〜、秋は9月〜とされています。
つまり、春が始まる3月と秋が始まる9月には、それぞれの季節の新作商品が店頭もしくはネット上に豊富に揃い、旬な素材が選べる状態になっています。
まだ寒いけど、素材を春夏に切り替えていくのが3月。まだ暑いけど、素材を秋冬に切り替えていくのが9月です。
衣替えの時期は、6月と10月と言われていますが、洋服の旬な素材の切り替え時期は、3月と9月を意識しておくといいでしょう。
季節の切り替え時期である3月と9月にその季節の旬な素材を取り入れることで、季節感のあるオシャレが完成します。
まとめ

今回は、「この服、いつまで着れるんだろ?」、「この服って、今の季節に着てもいいのだろうか…」
そんな疑問や不安を持つ方に向けて、季節の旬な素材の選び方のコツを3つ紹介しました。
・季節の変わり目は「体温調整」より「季節調整」を心がける
・季節感のある、旬な素材を選ぶ
・素材選びの切り替えは、3月と9月を意識する
これら3つのポイントをもとに洋服を選ぶことで、季節感のある旬なコーディネートを作れます。
季節感がある、メリハリの効いた着こなしで、自信を持ってオシャレを楽しんでみてください。