ネーミングって、やってみると意外に難しい…
副業でネーミングのお仕事を始めてみたけど、なかなか採用されない…
ネーミングのお仕事を始めてみて、『ネーミングの難しさ』や、『始めやすいが稼ぎづらい』ことを実感している方も多いのではないでしょうか。
ネーミングは、センスやヒラメキで考えようとすると、なかなか上手くいきませんよね。
なぜなら、料理と同じように、ネーミングにも『レシピ(手順書)』があるからです。
この記事では、ネーミングの発想方法を、料理を作るイメージで解説していきます。
この記事を読めば、ネーミング発想の手順やコツが分かり、スムーズにネーミングの発想ができるようになります。
この記事を書いている僕は、ネーミング歴3年。
クラウドソーシングでの採用実績は22件になります。
ネーミングは仕込みが8割
クライアントからの依頼文を読んで、いきなりネーミングを考え始めようとしていませんか。
これは、料理で言えば、食材の準備が出来ていないのに、調理に取り掛かるようなものです。
ネーミングコンセプトを作る
まずは、これから作る料理のコンセプトを決めていきます。
クライアントからの依頼文を元に、ネーミングコンセプトを作りましょう。
ネーミングコンセプトとは、商品・サービスの紹介文のようなものです。
「この商品はどんな商品なのか?」「他の商品と何が違うのか?」に対する答えとも言えます。
例えば、吸引力で思い浮かぶ掃除機メーカー、ダイソンの商品コンセプトは『吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機』です。商品コンセプト一つで、商品の特徴や他の商品と何がちがうのかを印象付けています。
『どんな人がorどんな時に/どんなふうに使って/どんな悩みを解決する(効果)のか』を軸に、ネーミングコンセプトを考えてみてください。
依頼文で気になるキーワードを書き出す
ここは、料理に必要な食材を仕入れていくイメージです。
依頼文に書かれた、特長(特性)やメリットをキーワードで抽出。
箇条書きで、どんどんキーワードを書き出しましょう。
書き出したキーワードの関連ワードも抽出していきます。ここで便利なサイトは、『ラッコキーワード』です。
Google検索などでキーワード検索をしたときに、あるキーワードと一緒に2語目、3語目として,入力・検索されるワードがどんなものがあるかを教えてくれます。
このことで、キーワードの幅が広がるとともに、キーワードがお客様に支持されているかどうかを知ることが出来ます。
Googleでキーワードを検索する
書き出したキーワードを元に、Google検索でキーワードを深掘りしていきます。
・企業ホームページ・・・クライアントの企業名が公表されている時は、ホームページを見てみましょう。
ホームページには、企業理念やお客様の声など、クライアントのことを知るための様々な“ヒント”が掲載されています。
クライアントの思いに寄り添った提案をするために必要な検索になります。
・同じような商品(サービス)・・・同じような商品(サービス)に、どんな名前がついているのか知ります。
ネーミングの参考にしながら、競合と同じようなネーミングをつけてしまうことを回避します。
スムーズにネーミングが発想できる7つのレシピ
ー7つのレシピー
1.素材のままでいってみる
2.外国語にしてみる
3.カット/省略してみる
4.組み合わせてみる
5.言葉で遊んでみる
6.外国語風日本語にする
7.音やリズムを楽しんでみる
1.素材のままでいってみる
抽出したキーワードをそのままストレートに表現する方法。
商品やサービスがどんなものなのか、一番伝わりやすいネーミングになります。
例)
・「おいしい牛乳」(明治)
・「南アルプスの天然水」(サントリー)
2.外国語にしてみる
英語はもちろん、イタリア語やラテン語などの外国語を採用する方法。
異国情緒あふれる、魅力的なネーミングになります。
例)
・「オッジ」(小学館)→イタリア語で「今日」
・「イオン」(商業施設)→ラテン語で「永遠、夢のある未来」
3.カット/省略してみる
人にニックネームをつけるように呼びやすくなるようにカットする方法。
言葉にしやすく、耳に残りやすいネーミングになります。
例)
・「WONDA」(缶コーヒー・アサヒビール)→ワンダフルの語尾をカット
・「ちいかわ」(漫画・ナガノ)→「なんか小さくてかわいいやつ」
4.組み合わせてみる
2つ以上の言葉を組み合わせる方法。シンプルで分かりやすいネーミングになります。
例)
・「ヒートテック」(UNIQLO)
・「熱さまシート」(小林製薬)→熱冷まし+シート
5.言葉で遊んでみる
言葉を逆さまにしてみたり、言葉をランダムに入れ替えてみたりする方法。
面白みのあるネーミングになります。
例)
・「MIU」(飲料・ダイドードリンコ)→海を逆にした
・「DAKARA」(飲料・サントリー)→カラダ(KARADA)をランダムに入れ替え
6.外国語風日本語にする
一瞬外国語に聞こえるけど、実は日本語で伝えたいことを伝える方法。
外国語風のオシャレな響きで、伝えたいことがストレートに伝わるネーミングです。
例)
・「ミガコット」(歯磨きセット・ライオン)
・「カクノ」(ペン・パイロット万年筆)
7.音やリズムを楽しんでみる
擬音などの、音の響きやリズムで表現する方法。
ついつい憶えてしまう、直感的にものがイメージできるネーミングです。
例)
・「ポッキー」(菓子・グリコ)→「ポッキン」と折れる音
・「ZABOON」(洗濯機・東芝)→水で「ザブン」と洗う
ネーミングのレシピはまだまだ沢山ありますが、ここでは僕がよく使うレシピを紹介しました
※引用書籍 『ネーミングの極意』弓削 徹(明日香出版社)
ネーミングの仕上げる3つの作業
ここでは、ネーミングのレシピで作ってきた料理を仕上げる作業を3つ紹介していきます。
どれも、クライアントが安心してネーミングを使用していくための大切な作業になるので、一つ一つの内容を確認しておきましょう。
ドメイン取得の確認
ドメインとは、Webサイトを表示するために入力するURLの一部です。
特に、Webサイトや、会社名・店名のネーミングを作成した際は、必ず確認しましょう。
ドメインの中でも、『.com/.net/.jp』の主要ドメイン取得の可否を条件にしてくるクライアントは多くみられます。
【ドメイン取得確認の便利ツール】
・Xserver レンタルサーバー
商標取得の確認
商標とは、事業者が自己(自社)の取り扱う商品・サービスを他人(他社)のものと区別するために使用するネーミングやマークです。
商標登録することで、他社が使用することを防ぐことが出来ます。
そのため、せっかく決めたネーミングがすでに商標登録されているものだと、自社が商標登録できないのはもちろん、商標権を侵害した場合は不法行為として、後々のトラブルとなってしまいます。
特にサービス名・商品名のネーミングを作成した際は、必ず確認しましょう。
【商標確認の便利ツール】
・J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)
・Toreru 商標検索
画数チェック
社名を決める場合、会社の繁栄・成功を願い画数を気にされるクライアントは多くいます。
クライアントによっては、指定画数を提案の条件にしている場合もあります。
会社や店名を作成した際は、確認しておきたい項目です。
【画数チェックの便利ツール】
・社名占い
AIが作るレシピも参考にしてみる
補足としてですが、Chat GPTを使ったワードを参考にしてみるのも良いと思います。
『キーワード〇〇が伝わるネーミングの候補と、その意味を10個出して』みたいな言葉でChatGPTに生成してもらうのもいいでしょう。
ただし、あくまでも参考にするだけで、そのまま提案するのは避けた方がいいと思います。
なぜなら、ChatGPTの仕組みは『文章の続きを予測して続ける機械』だからです。
つまり、最も確率的に続きそうな候補を繋げて続きを書くシステム。
そこから出てくる言葉は、『平均的な答え』になり、つまらなく感じるからです。
ChatGPTを使う場合は、参考程度にとどめておきましょう。
ネーミングを味見してみる
最後にできたネーミングを、声に出して確認しましょう。
1,『音感』はいいか。
言葉にした時のリズム感や語呂のよさを確かめてみましょう。
2,『発音』しやすいか。
特に社名や店名の場合、電話で名前を名乗る機会が多くあります。
この時、噛みやすかったり、言いづらい言葉は毎回ストレスになります。
自分が電話に出た時を想定し「お電話ありがとうございます、〇〇でございます」と言葉にして発音を確かめてみましょう。
まとめ
ネーミングは、料理をするように仕上げていくことで、“うまい”ネーミングが出来上がります。
・食材を仕入れ、仕込みをする
・仕込みをした食材をレシピに沿って調理していく
・味の調整をしながら仕上げ、味見をして、料理を提供する
これらの、工程とダンドリがとても大切です。
そして、何よりもクライアントの好みや要望をよく理解し、クライアントに喜んでいただくネーミングを提供する。この思いが、ネーミングの採用率を上げてくれるはずです。
この記事が、ネーミングのお仕事でなかなか結果が出ずに悩んでいる皆様のヒントになってくれると嬉しいです。