キャバリアの病気予防|健康寿命を延ばす5つの習慣と対策を紹介します。

愛犬のキャバリアにいつまでも元気でいてほしい。そう願いながらも、「どんな病気に気をつけたらいいの?」「具体的な予防法がわからなくて不安…」と感じていませんか。その優しく愛らしい瞳に見つめられるたび、健康を守ってあげたいという気持ちは一層強くなるはずです。

この記事では、そんな飼い主さんのために、キャバリアの病気予防に関する知識と具体的な実践方法を網羅的に解説します。

特に注意が必要な心臓病などの「遺伝性疾患」のリスクから、垂れ耳が原因の「外耳炎」や見落としがちな「歯周病」など、日々の丁寧なケアで防げる病気、そして愛犬の健康寿命を延ばすための「5つの生活習慣」まで、今日からすぐに始められることばかりです。

この記事を読み終える頃には、愛犬の健康を守るための正しい知識が身につき、自信を持って日々のケアに取り組めるようになります。愛犬との健やかな毎日を守るための第一歩を、ここから踏み出しましょう。

りゅうじゅ
りゅうじゅ

この記事を書いている僕は、これまで3匹のキャバリアと過ごしてきました。
これまでの経験から、キャバリアがかかりやすい病気と予防について、網羅的に調査しましたので、ぜひ参考にしてみてください。

キャバリアの病気予防で知っておくべき3つの基本

愛犬のキャバリアに、一日でも長く健康でいてほしいと願うのは、すべての飼い主さんの共通の想いです。そのためにまず知っておきたい病気予防の基本は、以下の3つに集約されます。

  • 遺伝性疾患の理解
  • 日常ケアの実践
  • 早期発見の徹底

キャバリアには、犬種の特性としてかかりやすい遺伝性の病気がいくつか存在します。これらは完全に予防することが難しいからこそ、正しい知識を持つことが大切です。一方で、日々のこまめなケアで防げる病気もたくさんあります。この両方をきちんと理解し、バランスよく対策を講じることが重要になります。

そして、どんな病気であっても最も大切なのが「早期発見・早期治療」です。普段の生活から愛犬の様子をよく観察し、定期的な健康診断を欠かさず、万が一の事態に備える。この3つの基本姿勢が、愛犬の健康を守るための土台となります。

遺伝性疾患のリスクを理解する

まず、キャバリアという犬種が、特定の遺伝性疾患にかかりやすい背景を理解しておくことが大切です。

キャバリアは、その愛らしい見た目や穏やかな性格を形作るための犬種改良の歴史の中で、特定の病気の遺伝子も受け継ぎやすい傾向が生まれました。

代表的なものには、心臓の病気である「僧帽弁閉鎖不全症」や、神経の病気「脊髄空洞症」などが挙げられます。これらの病気は、飼い主さんの努力だけで完全に発症を防ぐことは困難です。

だからこそ、飼い主さんには「こういうリスクがある」という正しい知識を持っておくことが求められます。

病気のサインを早期に発見し、獣医師と相談しながら病気と上手に付き合っていくという心構えが、愛犬の負担を減らし、健やかな時間を延ばすことに繋がります。

日常ケアで防げる病気を知る

遺伝性の病気がある一方で、飼い主さんの日々のケアによって十分に予防できる病気もたくさんあります。これらは、キャバリアの身体的な特徴と深く関係しています。

例えば、長くて垂れた耳は、内部が蒸れやすく細菌が繁殖しやすいため「外耳炎」のリスクを高めます。また、シルクのように美しい長い被毛は、手入れを怠ると皮膚トラブルの原因になることもあります。

その他にも、歯周病や膝のお皿がずれる膝蓋骨脱臼(パテラ)など、日々の生活習慣やお手入れが予防に直結する病気は少なくありません。飼い主さんの少しの注意と実践が、愛犬をこれらの病気から守る大きな力になることを覚えておきましょう

「早期発見・早期治療」が最も重要

キャバリアの健康を守る上で、あらゆる病気に共通する最も重要な原則は「早期発見・早期治療」です。犬は言葉で不調を訴えることができないため、飼い主さんがその小さなサインに気づいてあげることが何よりも大切になります。

病気は、初期の段階で治療を始めることができれば、進行を遅らせたり、症状を和らげたりできる可能性が高まります。治療の選択肢も広がり、結果的に愛犬の身体的な負担や苦痛を大きく減らすことができます。

「最近よく咳をする」、「散歩ですぐに疲れるようになった」、「歩き方が少しおかしい」といった、普段とのささいな違いを見逃さないようにしましょう。そして、症状が出ていなくても、定期的な健康診断を受けることが、隠れた病気を見つけるための最も有効な方法です。

【要注意】キャバリアが特にかかりやすい遺伝性の病気と対策

ここでは、キャバリアの飼い主さんが特に知っておくべき、遺伝的な要因が強い代表的な病気について解説します。

これらの病気は完全に予防することは難しいですが、症状や対策を知っておくことで、愛犬の異変にいち早く気づき、適切な対応を取ることができます。知識は、愛犬を守るための大切なお守りになります。

僧帽弁閉鎖不全症(心臓病):4歳以上の約6割が発症

僧帽弁閉鎖不全症は、心臓の左心房と左心室の間にある「僧帽弁」という弁がきちんと閉じなくなり、血液が逆流してしまう病気です。キャバリアが最もかかりやすい遺伝性疾患として知られており、注意が必要です。

初期段階ではほとんど症状がありませんが、進行するにつれて、運動した後や興奮した時に「カハッ、カハッ」という乾いた咳をするようになります。さらに悪化すると、疲れやすくなる、呼吸が速く苦しそうになるなどの症状が見られます。

根本的な予防は難しいですが、肥満を避けることや、塩分の多い食事やおやつを与えないことが、心臓への負担を減らす上で重要です。そして何より、4〜5歳を過ぎたら年に1〜2回は動物病院で聴診や心臓の検査を受け、病気の早期発見に努めましょう。

脊髄空洞症:首の痛みや麻痺を引き起こす神経の病気

脊髄空洞症は、頭蓋骨の形が通常と少し異なること(キアリ様奇形)が原因で、脳から流れる脳脊髄液の流れが滞り、脊髄の中に液体が溜まって空洞ができてしまう病気です。この空洞が神経を圧迫し、さまざまな症状を引き起こします。

主な症状としては、首のあたりを後ろ足でしきりに掻くような仕草(ファントムスクラッチ)、首や背中に痛みを感じて鳴く、歩行時のふらつき、四肢の麻痺などが見られます。

日常生活では、首に負担をかけない工夫が大切です。首輪の代わりに、体全体で支えるハーネスを使用しましょう。また、食事の際に首を大きく下げなくて済むように、食器を少し高さのある台の上に置いてあげるのも良い方法です。

乾性角結膜炎(ドライアイ):目の潤いがなくなり、炎症を起こす

乾性角結膜炎は、涙の量が少なくなることで目の表面が乾き、角膜や結膜に炎症が起きてしまう病気です。一般的には「ドライアイ」として知られています。遺伝的な要因のほか、免疫の異常が関連しているケースもあると考えられています。

目が乾くと、ベタベタとした黄色っぽい目やにが多く出たり、白目が充血したりします。犬自身も不快感から、目をしょぼしょぼさせたり、前足でこすろうとしたりする仕草を見せることがあります。

放置すると角膜に傷がつき、視力低下や、最悪の場合は失明に至る可能性もあるため、早期の治療が不可欠です。目の周りを清潔に保ち、動物病院で処方された点眼薬などで目の潤いを保つことが治療の基本になります。

その他の注意したい病気(てんかん様発作など)

ここまで紹介した病気の他にも、キャバリアが注意したい病気はいくつかあります。その一つが「てんかん様発作」です。

はっきりとした原因がないまま、突然意識を失い、手足を突っ張るなど全身が痙攣する発作を繰り返します。遺伝的な要因が関わっていると考えられています。

また、キャバリアは鼻先が比較的短いため、呼吸器系のトラブルにも注意が必要です。いびきをかきやすかったり、「ガーガー」という呼吸音がしたりすることがあります。特に肥満になると気道が狭まり、呼吸がさらに苦しくなるため、体重管理は非常に重要です。

その他、遺伝的に若いうちから発症することのある「白内障」も、目の病気として注意が必要です。定期的な健康診断の中で、目の状態もしっかりとチェックしてもらいましょう。

【実践】日常のケアで予防できるキャバリアの病気

遺伝性の病気は予防が難しい一方で、飼い主さんの日々のケアでリスクを大きく減らせる病気もたくさんあります。

ここでは、キャバリアの身体的な特徴を踏まえた上で、今日から実践できる具体的なケアの方法を紹介します。少しの手間が、愛犬の快適な毎日につながります。

外耳炎:垂れ耳だからこそ丁寧な耳掃除を

キャバリアの長くて垂れた耳は、とても魅力的ですが、病気の観点からは注意が必要です。

耳の穴がフタをされたような状態になるため、内部の通気性が悪く、湿気がこもりやすくなっています。これは、細菌やマラセチアといったカビの一種が繁殖するのに最適な環境。そのため、キャバリアは外耳炎にかかりやすい犬種と言えます。

予防の基本は、耳の中を清潔で乾燥した状態に保つことです。週に1回程度は耳の中をチェックし、汚れていればイヤーローションを染み込ませたコットンで、見える範囲を優しく拭き取ってあげましょう。

また、シャンプーや水遊びの後は、耳の入り口付近の水分をしっかり拭き取ることも忘れないでください。ただし、綿棒などを耳の奥まで入れるのは、耳を傷つける危険があるので絶対にやめましょう。

皮膚病・アレルギー:ブラッシングとシャンプーで清潔に

キャバリアの絹糸のように美しく長い被毛は、定期的な手入れが欠かせません。このお手入れは、見た目の美しさを保つだけでなく、皮膚の健康を守る上でも非常に重要です。

被毛が長く密集しているため、汚れがたまりやすく、蒸れやすいため、皮膚炎の原因になることがあります。

できれば毎日、定期的なブラッシングで抜け毛やホコリを取り除き、毛のもつれを防いであげましょう。ブラッシングは皮膚の血行を良くする効果もあります。そして、月に1〜2回を目安にシャンプーを行い、皮膚と被毛を清潔に保ちましょう。

また、キャバリアはアレルギー性皮膚炎を発症することもあります。特定の食べ物が原因で皮膚にかゆみが出ている場合は、獣医師と相談しながらアレルギーに配慮したフードを試してみるのも一つの方法です。

歯周病:毎日の歯磨きで全身の健康を守る

歯周病は、単なるお口の病気とあなどってはいけません。歯に付着した歯垢の中の細菌が原因で歯茎に炎症が起き、進行すると歯を支える骨まで溶かしてしまう恐ろしい病気です。さらに、口の中の細菌が血管を通って全身に広がり、心臓病などの持病を悪化させることもあります。

歯周病予防に最も効果的な方法は、毎日の歯磨きです。犬用の歯ブラシと歯磨き粉を使って、歯の表面についた歯垢を物理的に取り除きましょう。いきなり歯ブラシを口に入れると嫌がることが多いので、まずは口の周りを触ることから始め、少しずつ慣れさせていくことが成功のコツです。

どうしても歯磨きが難しい場合は、デンタル効果のあるガムやおもちゃ、歯垢がつきにくいフードなどを補助的に使うのも良いでしょう。もちろん、定期的に動物病院で口の中の状態をチェックしてもらうことも大切です。

膝蓋骨脱臼(パテラ):滑らない床環境と体重管理が鍵

膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)は、後ろ足の膝にあるお皿のような骨(膝蓋骨)が、正常な位置から内側や外側にずれてしまう病気で、「パテラ」とも呼ばれます。特に小型犬に多く見られる関節の病気です。

遺伝的な要因も大きいため、完全に予防することは難しいとされています。しかし、生活環境を整え、膝に負担をかけないようにすることで、症状の悪化を防ぐことは十分に可能です。

特に滑りやすいフローリングの床は、犬が踏ん張る際に膝に大きな負担をかけます。カーペットやマットを敷いて、滑らないように工夫しましょう。
また、ソファやベッドなど、高い場所からの飛び降りをさせないように、ステップ(階段)を設置するのも有効です。

そして、肥満は関節への負担を増大させる最大の要因のです。適切な体重管理を常に心がけましょう。

キャバリアの健康寿命を延ばす!飼い主ができる5つの習慣

特定の病気に対する直接的なケアに加えて、日々の生活全体を見直すことが、愛犬の健康寿命を延ばすためには不可欠です。食事や運動、生活環境といった基本的な要素が、犬の免疫力や体力を支える土台となります。

ここでは、今日から意識したい5つの健康習慣を紹介します。

  1. 体重管理とバランスの取れた食事
  2. 心臓に負担をかけない適度な運動
  3. 熱中症対策は年間を通して意識する
  4. ストレスの少ない安心できる環境作り
  5. 定期的な健康診断と予防接種

習慣①:体重管理とバランスの取れた食事

肥満は「万病のもと」です。体重が増えすぎると、心臓や関節、呼吸器など、体のあらゆる部分に余計な負担がかかり、さまざまな病気のリスクを高めてしまいます。適正な体重を維持することは、最も基本的で、かつ最も効果的な病気予防策と言えるでしょう。

愛犬の年齢や運動量に合った、質の良いドッグフードを選び、パッケージに書かれている給与量を目安に与えるようにしてください。可愛いからといって、おやつを与えすぎるのは禁物です。おやつも1日の食事の一部として、全体のカロリーを管理する意識が大切です。

定期的に体重を測る習慣をつけ、同時に「ボディコンディションスコア」を参考に、肋骨がうっすらと触れるか、腰のくびれはあるかといった体型チェックも行いましょう。

画像引用元:環境省

習慣②:心臓に負担をかけない適度な運動

運動は、肥満の防止やストレスの解消、筋力の維持に欠かせない重要な習慣です。しかし、心臓に遺伝的なリスクを抱える可能性のあるキャバリアにとっては、運動の「質」と「量」が非常に重要になります。

基本は、毎日の散歩を欠かさないことです。1日に2回、それぞれ20分から30分程度を目安に、愛犬のペースに合わせて無理なく歩きましょう。他の犬との交流や、外の匂いを嗅ぐことも、犬にとっては良い刺激になります。

一方で、ボールを延々と追いかけさせたり、夏の暑い日中に走り回らせたりするような、激しい運動は心臓に大きな負担をかける可能性があります。

特にシニア期に入ったら、運動量を調整し、愛犬が息切れしていないか、疲れすぎていないか、様子をよく観察しながら行うことが大切です。

習慣③:熱中症対策は年間を通して意識する

キャバリアは、その可愛らしい顔立ちからもわかるように鼻先が比較的短く、また被毛も豊かなため、暑さに非常に弱い犬種です。呼吸によって体温を効率的に下げることが苦手なので、熱中症には最大限の警戒が必要です。

夏場の暑い時期はもちろんですが、実は冬場でも油断はできません。暖房が効いた暖かい部屋や、日光が差し込む車内などでは、冬でも熱中症になる可能性があります。エアコンなどを活用して、犬が過ごす場所の室温は23〜25℃程度に保つのが理想です。

散歩は、夏場は涼しい早朝や日が落ちた夜の時間帯を選びましょう。そして、いつでも新鮮な水が飲めるようにしておくこと、短時間であっても車の中に置き去りにしないことを徹底してください。

習慣④:ストレスの少ない安心できる環境作り

人と同じように、犬にとっても過度なストレスは心身の健康に悪影響を及ぼします。ストレスは免疫力の低下を招き、病気にかかりやすい状態を作ってしまうことがあります。

キャバリアはとても穏やかで人懐っこい性格をしており、家族と一緒にいることを好む犬種です。そのため、長時間の留守番や、家族とのコミュニケーションが不足することは、大きなストレスの原因になり得ます。

できるだけ一緒に過ごす時間を大切にし、優しく声をかけたり、撫でたりする触れ合いの時間を積極的に作りましょう

また、家の中に犬が一人でも安心して静かに休める、自分だけの場所(クレートやベッドなど)を用意してあげることも、心の安定につながります。

習慣⑤:定期的な健康診断と予防接種

病気の予防と早期発見のために、飼い主さんができる最も確実な行動が、動物病院での定期的なケアです。これには、ワクチン接種と健康診断の二つが含まれます。

狂犬病や混合ワクチンで予防できる感染症は、確実に予防しておくことが、飼い主としての重要な責務です。接種スケジュールについては、かかりつけの獣医師とよく相談してください。
そして、言葉で不調を訴えられない愛犬のために、定期的な健康診断を習慣にしましょう。若いうちは年に1回、心臓病などのリスクが高まる5〜7歳以降のシニア期に入ったら、半年に1回の健康診断がおすすめです。

信頼できるかかりつけの獣医師を見つけ、日頃から愛犬の健康状態について何でも相談できる関係を築いておくと、いざという時に安心です。

まとめ

この記事では、キャバリアの飼い主さんが知っておくべき病気の予防法について、遺伝的なリスクから日々のケア、生活習慣まで幅広く解説しました。

最後に、大切なポイントを振り返ります。

  • 遺伝性疾患を理解する: キャバリアは心臓病(僧帽弁閉鎖不全症)などの遺伝性疾患のリスクがあることを知り、早期発見に努めることが重要です。
  • 日常ケアを実践する: 垂れ耳が原因の外耳炎や皮膚病、歯周病などは、毎日のブラッシングや耳掃除、歯磨きといった丁寧なケアで予防できます。
  • 生活習慣を整える: 肥満を防ぐための体重管理、心臓に負担をかけない適度な運動、年間を通した熱中症対策など、健康の土台となる習慣を続けましょう。
  • 早期発見が鍵: 何よりも大切なのは、定期的な健康診断と、日々の生活の中での小さな変化を見逃さない飼い主さんの観察眼です。

毎日のブラッシングや、一緒に遊ぶ時間の中でのスキンシップが、愛犬の体を触り、小さな変化に気づくための最高の健康チェックになります。

この記事で紹介した知識を参考に、今日からできることから一つでも実践に移し、愛犬とのかけがえのない幸せな時間を、一日でも長く育んでいきましょう。

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