【アパレル接客のコツ】「必要」より「欲しい」で売上が変わる!新人販売員が知っておくべき購買心理を解説します。

アパレル接客

「お客様が本当に必要そうなのに、なぜか買ってくれない…」そんな経験をしたことはありませんか?たとえば、ヨレヨレのTシャツを着ている人が、新しいTシャツを買おうとしない。販売をしていると、不思議に思う場面は少なくないはずです。

実は、そこには「必要だから買う」と、「欲しいから買う」の違いがあります。多くのお客様は、必要に迫られて買うよりも、「欲しい!」と感じたときにこそ購買意欲が溢れるのです。

この記事では、Tシャツや食べ物、お酒など身近な例を通して、「必要」より「欲しい」を大切にする接客の考え方をわかりやすく解説。さらに、「どうやってお客様の欲しい気持ちを引き出せばいいのか」という接客のヒントも紹介します。

この記事を読むことで、あなたは「売る販売員」から「また接客してほしいと思われる販売員」へと一歩近づけるでしょう。

今、接客で大切なことは「お客様が欲しいものを売る」こと

今、販売員に求められている接客は、お客様の「必要なもの」ではなく、「欲しいもの」を販売することです。

当たり前のように感じるかもしれませんが、物価高に悩まされている今、私たちの買い物は「欲しいもの」ではなく、「必要なものを厳選する」傾向にあります。

しかし、そんなお客様心理に接客スタイルを合わせていては売上は上がりません。ここでは、「お客様が欲しいものを売る」ことの重要性を、解説していきます。

Tシャツをたくさん持っている人は、またTシャツを買ってくれる

まずは、一つの例題を出すので考えてみてください。

あなたは、洋服屋の販売員です。今日は、新作のTシャツを販売することが目標です。

そこに、二人のお客様がいらっしゃいました。お客様は、Aさんと、Bさんとしましょう。

・Aさん→すでにTシャツをたくさん持っている人。もうあまりTシャツはいらないと思っていて、次はパンツかシューズが欲しいと思っている。

・Bさん→Tシャツをほとんど持っていない人。Tシャツは2枚ほどしか持っておらず、今着てるTシャツも“ヨレヨレ”で、明らかにTシャツが必要そう。

あなたがTシャツをおすすめしたとき、AさんとBさん、どちらがTシャツを買ってくれる確率が高そうですか?

答えは、Tシャツをたくさん持っている「Aさん」です

なぜなら、Aさんの方が、Tシャツにお金を出すことに対する抵抗が少ないからです。
Aさんは、オシャレをすることに価値観を持ち、Tシャツを購入することで欲求を満たすことが当たり前になっていると推測されます。

つまり、Aさんは、「新しいTシャツが欲しい!」という、自身の価値観を満たす「欲求が高い」のです。

一方のBさんは、洋服に興味もないし、洋服を買うことに価値も感じていません。Aさんに比べ、Tシャツの購入回数が少なく、洋服は必要なときに買っていることが推測されます。

つまり、Bさんは、「必要性は高いが、欲求は低い」状態です。

いくら販売員がTシャツの商品情報や、コーディネートを必死に提案しても、「今、着るものがあるから、買わなくてもいいか」と、思われてしまう可能性が高くなります。

健康に「必要なもの」より、食べたい「欲求が高いもの」が売れている

次に、洋服ではなく、食べ物でも考えてみましょう。

もし、人が健康に過ごすために必要とされる食べ物を売るのであれば、健康を害しそうなスナック菓子や、ジャンクフードは必要ありません。ですが、ご存じの通り、スナック菓子も、ジャンクフードも多くの人が「食べたい!」と思って、購入しています。

つまり、売れているものは、必要なものではなく、「欲しい(食べたい)もの」であるということ。

一見、お客様にとって必要なものを売ってあげた方が、いい販売員になりそうなものですが、消費者は感情(欲しいか、欲しくないか)で、買うか買わないかを決めているのです。

「必要な商品」では客単価が上がらない

世の中には、必要なものを販売して大きな売上を作っている企業もあります。しかし、すべての人に必要とされる商品は、客単価ではなく客数で勝負できる大企業が大きな役割をになっていることがほとんどです。

例えば、トイレットペーパーは、生活に必要だから売れています。しかし、トイレットペーパーは、高単価になりにくい商品です。理由は、必要な個数があれば、それ以上はいらないから。

このことから知って欲しいのは、「必要性には、あまり感情が動かない」ということ。

もしあなたが、急な出張でジャケットが必要になったとき、感情は高まるでしょうか?おそらく、多くの人は、仕方がなくジャケットを購入するでしょう。

素材や色やシルエットにこだわることもなく、間に合わせのジャケットを購入する。まして、ジャケットをおしゃれに着こなすためのシューズやパンツなんて探しもしないはず。

それは、必要に迫られた買い物に、感情が動いていないからに他なりません。

結果、「必要なものだけを購入する=極力お金を使わない」ということになるのです。

「ウォンツ(Whants:欲求)が強い商品」で客単価を上げる

ここでは、ウォンツ(Whants:欲求)が強い商品の代表である、「お酒」を使って、客単価アップの仕組みを見ていきましょう。

基本的にお酒は生きていく上で必要なものではありません。ましてや、健康を害してしまうこともあります。しかし、お酒が好きな人は、たくさんのお金をお酒に投資します。これもやはり、人の欲求が強いからです。

そして、その欲求は、たとえば次のように変化していきます。

この変化をみて分かる通り、欲求の高まりは価格を上げていきます。
「もっと、もっと」という、ウォンツが強くなれば、それが「人の価値」になっていくのです。

「自分は、お酒を飲むことに価値を感じている」。だから、「そこにお金を出すことに抵抗はない」という心理状態です。

これが、人が価値の対価としてお金を払うようになる仕組みです。

販売員に求められるのは「欲しい」を満たす接客

今、販売員に求められるのは、お客様の「欲しい」を満たす接客です。

もちろんお客様の「必要(ニーズ)」を聞き出すことも重要です。しかし、必要に迫られた買い物は「つまらない」もの。それよりも、着ていくところがなくても「欲しい!」。そうお客様に思っていただくことが、商品購入の理由になるべきなのです。

先の例題であげたAさんタイプは、今は必要ない(洋服をたくさん持ってる)けど、洋服屋に行ったとき、また新しい洋服を買うでしょう。

そして、買った後にこう思います。「僕は、〇〇だから洋服は必需品なんだ」と。
つまり、本来は必要ないけど、購入したあと意味を変えてしまうのです。これが、自分の価値観の対価としてお金を払った心理状態です。

だからこそ販売員は、お客様のニーズをお伺いするだけではいけません。
商品情報提供サービスや、コーディネート提案、トレンド情報など、お客様に「欲しい!」と思っていただける“価値提供”をする必要があるのです。

まとめ

アパレル販売で大切なのは、「必要だから買うもの」をすすめるのではなく、「欲しい!」と思ってもらえる商品を提案することです。

必要に迫られた買い物は気持ちが盛り上がりにくく、結果として客単価も伸びません。一方で、「欲しい」と思って選んだ買い物は、お客様の感情に直結し、満足感と売上の両方につながります。

この記事で学んでほしいポイントは次の3つです。

  • 「必要」より「欲しい」を意識して接客する
  • お客様の価値観を満たすように提案する(商品情報やコーディネート、トレンド情報など)
  • 感情が動いた買い物こそ、満足度と売上を高める

販売員の役割は「足りないものを売る人」ではなく、「お客様の欲しい気持ちを後押しする人」です。あなたの提案で「またあなたから買いたい」と思っていただければ、その経験は次の購買にもつながっていくでしょう。

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